ポーラ・ナイトの青い蝶

裸の少年達が
闇黒の森の中で
青い蝶々を追いかけている

彼らは黒曜の季節に生まれた
ポーラ・ナイトの申し子
金星からやって来た
カマキリの様な少年達

青い蝶はメタリック・ブルーの
鱗粉を落としながら
ヒラヒラと少年達の間を
舞舞(チョムチョム)する

エメラルドの海に
太陽が溶ける場所で
ギルバートは洗礼を受けた
その時邪悪な
白熊の毛が全部抜けた

北極に戻るには
寒すぎるツルツルの熊
狼狽し闇黒の森へ消えて行った

夢中になって蝶を追う
裸の少年達ほ
そんな事知らない

北欧の寝室
Love Chamberの中で
母親が聞いた悲鳴は
その心音を一つ遅らせた

邪悪な白熊が
蝶に気を取られてる隙に
全力疾走で走る
裸の少年達

よりによって
メタリック・ブルーの鱗粉を
撒き散らしながら

ラップ・ランドの暗闇の森で
少年達が怖い思いをした事を
知らないうちに感じながら

ギルバートは
ぬぐってもらっている
エメラルドに溶けた太陽のしずくを
まぶしい笑顔のままで

ぎゃああ
と言う悲鳴はしかし
母親の心音を一拍遅らせる

そう遠くない未来
ギルバートはそれを感じながら
ポーラ・ナイトの蝶を捕まえる

そして母親の心音を
一拍進めるだろう

ソフィア・デラ・ローズは
そう確信している