白菊

 把えられない
 はかない姿のあなたが 身近く
 訪れた夜

 手を差し伸べて
 あなたの髪を撫でようとすると
 ふと遠のく
 愛していますと 告げようとすると
 その目が固くなり
 だから
 唯 だまって腕にすがって歩く

 心が穏やかになって
 童女の様に虚しくなり切ると
 あなたの微笑みは今までの
 何十倍も優しく
 美しくなって
 そっと よりそって来てくれる

 目をつむって
 歩いても こわいものは何もない
 けれども瞼の裏
 夜の間の 霜おりた広野がみえて
 その中に おちこんでいく!

  あなたの
  おぼろな姿が消えてゆくこと
  はっきり解っているのに

 まるで 小さく硬ばった花弁を
 朝風に震わせる白菊が
 霜に打たれて 紫色にうち伏した様に
 安らぎを打ち消して咽び泣いたのだった

投稿者

滋賀県

コメント

  1. 情緒豊かに書かれている詩ですね。
    この詩の話者(もしくは、作者)のこころの描写がすばらしいと感じます。

  2. @こしごえ
        様へ

     いつも、お読みくださり本当に感謝しています。m(_ _)m
     この作品は、自分で納得出来るまで原稿を、何度も描きなおしました。
    だから、お寄せいただきましたご感想のお言葉、とても嬉しいです!( ´ ▽ ` )
    どうもありがとうございます。♪
     今、時間を見つけては、今まで読まなかった詩人さんの詩集に触れてみたり。
    新聞の記事から、四季の言葉の表現を切り取ってみたりして語彙力を増やしたい
    と、のぞんでいます。感じる世界を、自分のことばでもっと広く、柔らかく自然に
    表現出来たら、素晴らしいだろうなぁ!と感じています。

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