図書館と蜘蛛と
「たいした問題じゃないが」
と蜘蛛っこが下から読み上げる
黒地に白の横縞模様の
郵便屋さんの出で立ちで
「何を読んでいるの読んでいるの」
「うん、これはね、北の国のお話なのさ」
「聞かせておくれよ聞かせておくれ」
「おまちよおまち、うんと、こうなのだ」
銀の滴降る降るまわりに、金の滴降る降るまわりに
「誰を呼んでいるの呼んでいるの」
「ああ、それはね、空をさ、海をさ、この大地をさ」
「踊っておくれよ踊っておくれ」
「おまちよおまち、よっと、ほいさあさ」
銀の滴降る降るまわりに、金の滴降る降るまわりに
※知里幸恵訳,「アイヌ神謡集」,岩波文庫
梟の神の自ら歌った謡「銀の滴降る降るまわりに」より一部引用
コメント
脚注?を初めて使ってみたのですが、なにか間違いだとかこうした方がよいとかあればお願いします。
自分もこの本持っていました。
(どうしたかな)
アイヌ関連は読んでも聴いても北の冷たい感じがするんです。
懐かしく心地よい冷たさ。
蜘蛛にも教えてあげたいです。
@たちばなまこと
偶然に手にとって読んでみたのですが、色んな出来事が重なってくれて嬉しくなりました。刊行されてから100年たつらしいです。(今年に補訂新版が出てるようです)
冒頭の序から入口で衝撃を受けて綴ってみたのですが、読みきってみるととても深くて広大で。浅はかだったと後から少し恥ずかしくなってきたのですが、やっぱり素直に感じたものなのでこのままにしようと思いました。
ぼくは北の国のものではないので、とても新鮮に感じる一方、その土地に暮らしている方々にとっては、とても深刻で真剣なことだったりするのだろうなって、想像することくらいしかできないことに、色々と思ったり、します。
蜘蛛っこに今度また出逢えたなら、ぼくが感じたことを伝えられたらと思います。