ある世界

ひっそりと光るそよ風の縁にあなたと私がいる
道にできた卵形の水はにっこりほほえむ
世界と世界は手をつなぐ

星には星の、
草には草の、
虫には虫の、
鳥には鳥の、
人には人の、
世界がある。
その一つの、
その一本の、
その一匹の、
その一羽の、
その一人の、
その世界がある

世界を
完全に知ることはできない
だから どうでしょうね
相手のことを しずかに降る雨のように
思う

私には無い物事をあなたは持っているゆえに
あなたは私を支える時もあるし
私と同じ物事をあなたは持っているゆえに
あなたは私を支える時もある
それは お互いさまなの あなたも私も宇宙の一部です

そうして 雨上りの
たましいという いのちで 深呼吸をすると
ひっそりと光るそよ風の縁にあなたと私がいて 実る心

投稿者

コメント

  1. いのちの繋がりと、静かな幸福感が伝わります。

  2. 自然豊かなところに住んでいそうな詩ですね。宮沢賢治っぽさも感じます。

  3. 剛さんへ ああ、ありがとうございます。
    そのように感じたり思ったりしてくださいまして、ありがたく思います。
    この詩を書いて、ここで発表できて良かったです。

  4. りゅうさんへ はい、まあ、私の住んでいるところはいなかの山際みたいなところです。
    ああ、賢治さんぽさをこの詩から感じてくださいまして、なんだかうれしいです。
    うん、ありがとうございます。

  5. 「だから どうでしょうね」「おたがいさまなの」という話し言葉が、すぐ近くに「あなた」の存在を感じさせてこの詩を個性的にしている。うなりました。
    実る心、というのもよいなあ。

  6. 王殺しさんへ この詩を個性的と受け取ってくれた上に、実る心というのをよいと感じたり思ったりしてくださいまして、ありがたいです。
    ありがとうございます。

  7. アニミズムの目線で見てみると自己は、その一つ、一部。自分の中にも世界があり、世界の中にも自分がある。中にも、外にも。いつも迷うばかりなのですが、最終連である答えがあって、良かったです。

  8. timoleonさんへ そうですね。さまざまな物事にはそれぞれの世界があり、その通りですね。
    最終連も汲んでくださいまして、ありがたいです。
    ありがとうございます。

  9. 人と人は、お互い、気づかないところで、支え合っているのだと思います。私は、もしかしたら、誰かの水だったかもしれないし、あなたも、もしかしたら、私のための花だったかもしれない…。

  10. 長谷川さんへ そうですねぇ、その通りですね。そのようにこの詩を汲んでくださいまして、ありがたいです。
    長谷川さんが、そのようにすてきにこの詩を読んでくれまして、うれしい。ありがとうございます。

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