手紙

からっぽの部屋で
とうめいな夢を見る
ここにいるはずのない
きみのやわらかい声が
聞こえたような気がして
目がさめると
からっぽの部屋には
届けようのない
とうめいなことばたちが
息苦しいほどあふれていて
見たことのないかたちに
像を結んでいく

はじめまして
知らない感情

きみにふれるまえの自分が
どんなかたちだったのか
きみにふれるまえの自分が
どんなふうに生きていたのか
ぜんぶ
忘れた

からっぽの部屋で
知らない感情を
とうめいなことばにして
指先で手紙を書いていると
ここにいるはずのない
きみのやわらかい声が
聞こえたような気がした

目はさめなくていい

投稿者

大阪府

コメント

  1. カックイイ

  2. この詩は切なくて、そして、愛らしいです。

    私は手紙好きです。極たまに手紙を書くことがあります。^^

  3. 嗚呼たまらないなぁ!

  4. @かみる さん
    ありがとうございます◎

  5. @こしごえ さん
    相手に届いて、読まれて、返事が戻ってくるまでの時間。
    そのもどかしさの中で醸成されるものが、かつてはあったんでしょうね。

  6. @あぶくも さん
    そういうフィジカルな感じの感想、好きです(笑)

  7. おはようございます。
    朝から鼻の奥がつーんとして、叫びたくなった。
    ありがとうございます。

  8. @wc. さん
    ありがとうございます。
    そんな風に、読んだ人の何かのスイッチを入れるような詩が書きたいものです。

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