未来の私の影

静かに狂う
私を
認めつつ詩を
書いていたのであった
私は昔

こころの底に
流れていた
川の音を
ずっと聴いていた
生まれることが出来なかった私の子は
愛を知ることもなく
やがてたどり着く海で雲の生まれるのを
楽しみにしている
詩だ

生まれかわって詩になったのです。

私の肉体は
一度だけ生まれて、
一度だけ死んだ
私は昔。

いくつものこころは
失われた
でもさ
こころが書いた詩を
雨は繰り返し降る

今は雲になって
光る風に乗り
千切れながら
山を
越える
愛だ

投稿者

コメント

  1. ※初出 日本WEB詩人会。

    この詩の本文中の「生まれることが出来なかった私の子は」という部分は、フィクションです。

  2. 出だしでグッと引き込まれて一気に読み切らせる力のある詩だと感じました。そして、繰り返し読みたくなる。

  3. @あぶくも
    あぶくもさん コメントありがとうございます。
    あぶくもさんが、そう言ってくれて ありがたいです。
    作者である自分が自作を読んで、そういう読みを進める為の力があるのかどうかを判断するには、私のそういう読みの能力があるとは思えません。ただ、私の場合、(その作品それぞれによって度合いなどは異なりますが)書いたものを推敲するのはいつものことです(極まれに一気に書いてほぼ推敲しないで出す場合もあります)。その推敲の中で、その文章を小声に出して読みながら推敲をしています。
    なので、たぶん、そういう声に出しながらの推敲がいいの かもしれませんね。
    ああ、あぶくもさんが繰り返し読みたくなると言ってくれて、この詩を書いてぽえ会で発表して良かったと思えます。そう感じてくれたりして、それを私に伝えてくれて、ありがとうさま☆^^

  4. 逆投影、という言葉を思い出しました。
    良いですねぇ、、

  5. 言葉、詩と向き合う作者の真摯さが伝わってきました。…言葉を孕む、といったらよいでしょうか。言葉はある種の肉体ですよね。

  6. @wc.
    wc.さん コメントありがとうございます。
    おお、逆投影ですか。今、その言葉を検索してみました。うむ、そういうことなのかも。
    この詩の一部は、未来から過去を見ている構造になってるはず。で、未来の現在、などを映しています。
    wc.さんがこの詩を良いと言ってくれて嬉しいです。ありがとうさま☆^^

  7. @長谷川 忍
    長谷川さん コメントありがとうございます。
    長谷川さんが、作者の詩に対する態度などを真摯と受け取ってくれたことをありがたく貴重に思います。
    うむ、言葉を孕む、ですか。うん。そうですねぇ、長谷川さんの言う通り、言葉はある種の肉体ということですね。言われてみて、そういう感覚もあるのだろうという感覚の質感になります。
    長谷川さん すてきなコメントをありがとうさま☆^^

  8. 生きている生きていくことそのものに生まれ変わりシステムが有る
    詩の世界はまだまだ前向きに生きていけると勇気が貰える作品です。

    ※ 続きは、現フォにコメントしておきました。笑

  9. @足立らどみ
    らどみさん コメントありがとうございます。
    これまたベタなことを言いますが。生きている限りは、何度でもやり直せる「可能性」があると思います。
    らどみさんが、この詩をそのように前向きに とらえてくれて ありがたく嬉しいです。
    らどみさん ありがとうさま☆^^

    ※現フォの方を先に拝読しました。まあ、まだまだ私は何事も至りません、一生勉強です私は。ふふ。^^

    らどみさん すてきなコメントをいつも ありがとうさま☆^^

  10. 静かに狂う、それから、川の音。
    暗渠を思い起こしました。
    でももう少し自然な…地下水とか。
    詩、そして愛と断定する結びをとても尊く感じました。

  11. @たちばなまこと
    たちばなさん コメントありがとうございます。
    こころの底に
    流れていた
    川の音
    ということで、暗渠 や 地下水 を思い起こされたのでしょうね。静かに狂っているんですねよね、私。まあ、静か、と言っても、ある程度です。うん。たちばなさんが、その点も汲んでくれて、すてきに思ってくれて嬉しいです。
    ああ、詩、そして愛 と断定する結びをそうやって尊く感じてくれて ありがたく貴重に思います。
    まあ、愛だ、と断定しないと今の私は自分を支えることが出来ないのだと思います。
    たちばなさん、色々に思ってくれて ありがとうさま☆^^

  12. イメージなのですが、循環といいますか、円環、といいますか、地球、だとかそういうものが浮かびました。動物的な話で言うと、ぼくたちもこの自然の一部、といいますか、うまい一言がちょっと探せないままなのですが、読んでみてエネルギーと安らぎを感じました。

  13. @ぺけねこ
    ぺけねこさん コメントありがとうございます。
    ぺけねこさんが、この詩からそのようにイメージしてくれて ありがたく貴重に思います。
    ぺけねこさん ありがとうさま☆^^
    うん、そうですねぇ。流れていた川から雲へなっていく、というところから円環を思い浮かべてくれたのでしょうか。そうですね、私達も自然の一部です。
    この詩を読んでくれて、エネルギーと安らぎを感じてくれたことも嬉しいです。この詩を書いてここぽえ会で発表して良かった。

  14. 最後の 愛だ と言われるところで救いがあると思いました。
    様々な事があっても愛に救われるのでしょう。言葉を暖める
    事も愛だとおもいます。とても沁みる作品ですね。
                        レタス拝

  15. @レタス
    レタスさん コメントありがとうございます。
    うむ、愛。
    今から数か月前位の頃には、愛について少し考えた時期がありました。
    でも、私自身には、「愛は」無いのも同然かな?と今これを書いている今の今は思います。
    しかし、私という存在には、さまざまな人や物事から受けている愛が満ちている。冷静になって見つめてみると、愛をみんなから頂いている私が存在している。

    愛、って、広辞苑には、色々な意味で載っていますね。それらの意味の「愛」が世界には存在もしているし、存在していない場合もある。
    私が今、(忘れっぽい私ですが、)広辞苑の意味を見ないで思う「愛」って、人や物事を大切に思いやることだと思います。

    まあ、この詩は、この詩で、詩として完成はさせています。
    レタスさんが、それをそのように さまざまに言ってくれて、嬉しいです、とても。
    レタスさん、ありがとうさま♪☆^^

  16. ちょっと言葉が足らなかったとおもいます。詩として完成しているのはもとより
    愛で救われたというのは作品が一言で上手く締めくくられた… と思いました。
    申し訳ありませんでした。
                             レタス拝

  17. @レタス
    レタスさん コメントありがとうございます。ああ^^

    いえいえ、大丈夫ですよ。
    うん、まあ、私の場合、詩を書いていて、推敲をして、脱稿して、こうして発表している時点で、ある意味では、その作品は作者の手を離れているのですがね。

    そして、
    レタスさんが、その点などを汲んでくれた上で、愛で救われて、作品がうまく締めくくられた、と思ってくれたことを貴重に思います。
    レタスさん、ありがとうさま♪☆^^

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