砂浜
いつもと違った景色を観て
いつも食べないご飯を食べて
いつもよりたくさん会話して
たぶん
いつもより楽しかった
とっぷり日も暮れて
手持ちぶさたになった
あなたとわたし
砂山を見つけたので
山崩しをすることにした
ずっと昔見たような流木を拾い
まっすぐに立てた
もう何年もしてないね
本当は
いっぱい掬いたかったけど
少しずつ
慎重に
順番に
崩していく
一年前のあなた
五年前のあなた
十年前のあなた
あの日の
もう
倒しちゃっていいよ
辺りは真っ暗で
山の形も
お互いの顔も
見えなかった
流木が遠くに流されていったのは
わかった
波が跡形もなく消してくれたから
数時間後には
いつもの朝がくる
コメント
恋人への視線のような我が子への視線のような。
最終連、とってもいいです。
セックスしてない二人の詩でした。こんなかんじかなー