メッセージ(過去作、焼き回し

机が整然とならんでいる
錆びたロッカー、後ろの壁、足元から天井へ隙間なく貼りしきつめられたデッサン。
窓から俯瞰された線画、L字型の校舎、屈折した突端から、学生服が入ってくる。まわりはすべて塗りつぶされ
(どこかで響いている)
机に鞄を置き、窓枠に力をこめる、つまさきが少しだけ浮く

校門に立っている、靴箱が奥へ延び、左手にグラウンドが広がる、教室を目指し、玄関をくぐり、上穿きに履き替え、廊下をすすみ
つきあたりの階段を上がる。
(耳の奥で響く)

教室の窓から、校舎の屈折部分を描く、塀に沿って線を引く、空間はグラウンド、校門が目に付く、アスファルトが見える、学生服をそこに描く、門の向こうに街並みが見える、目を瞑る
空を見る、すいこまれ、視界が溶ける。
(耳の奥で響く声)
チャイムが鳴る、画用紙に青の絵の具をしぼり出す、筆で空を塗りつぶす。
教室のデッサンの隣に、画用紙を画鋲でとめる。

突き当たりの階段を三階まで上がっていく、教室の扉を開ける。机が整然とならんでいる。
(耳の奥で響く声へ)
教室には、いくつものデッサンが貼られている。窓から俯瞰された景色、すべてのデッサンの上半分は青くぬりつぶされ、校門には鞄をたすきがけにした学生服が描かれている。チャイムが鳴る、窓際の机に鞄を置き、窓枠に力をこめる、つまさきが少しだけ浮く、何度目かの空。

校門に立っている、またぼくは校門に立っている、頭の中で響く。レンガ造りの玄関を夕日が映す。声がする、ぼくはぼくの校舎に入っていく、靴箱いっぱいに靴は並び、上穿きはない。靴のまま、校舎の中に入り、教室を目指す、声がする、扉を開け鞄を投げ捨て一面に貼り付けられたデッサンを剥ぎ取り、破り捨てる
画鋲がばらばらとふりそそぎ、手の甲をひっかき、沢山のぼくの教室を反射し消えてゆく。ぼくは全てのデッサンを剥ぎ取り破り
窓枠へ力をこめる。
手の甲に、遠く燃える空が沈み
ぼくは投げ捨てた鞄の中から、カルトンと画用紙、HBの鉛筆をとりだし、見えるだけの街並み、ひとつの家、ビルディングをできるだけ丁寧にデッサンし、それら無数の窓からもれるささやかなひかりを、描く。
階段を降り、靴箱の横を通り、校門から外に出る、学生服とすれ違う、振り向くと、暗闇の中、学生服が立ちつくしている、校舎は見えない。
足元に、一枚の画用紙がぼんやりとひかりを帯びている。
その中から聞こえる矮小なぼくのさまざまな声に
学生服は耳を塞いでうずくまり、頭のてっぺんからどんどんと画鋲になり、画用紙の上へ音をたててふりそそぎ、はねた先の暗闇に消える。
ぼくは画用紙を拾う、そのあかりをたよりに、歩き出す
あらたなひかりの中へ

投稿者

コメント

  1. 読んでいて、ああこれはアートなんだなと思いました。
    作品の奥にある光が読者の心のなかにテレポートして
    読者の心のなかを照らしてくれるものを感じました。

    あらためて、タイトルを読んだらメッセージそのもの
    作者の文字魔法にかかっていたんだなと楽しめました。

  2. @足立らどみ
    さん、様

    リアクションは、ないだろうなと思いつつ、過去作をいじくり回して、言葉を変えたり、削ったり
    自分にとって大事なものが人にとってもそうなはずはありませんし。
    これはこれで終わりです。
    本当に
    ありがとうございました。

  3. これは、力作ですね。
    学生服というモチーフがこんなにも強く。

    画鋲という粒子になって落ちていく描写がとっても好きでした。

  4. @たちばなまこと
    様、さん
    最近ずっと敬称に悩んでいます。
    同じように
    何度も同じ言葉が繰り返される
    こういった詩を
    読んで何かを感じる
    読み手のまなざしというのか、人というのか
    そういった方がおられる事に
    刺激をうけるばかりです。
    かたっくるしいですかね笑
    ありがとうございます。

コメントするためには、 ログイン してください。