紙ヒコーキ

晩秋を刻印した一陣の風に靡く。
この旗をさらに高く掲げよ。
『シーモア―序章―』を読み耽る。
君が持つ〝故国の言葉〟。
広辞苑にも大辞泉にも載っていない言語で、
俺もこれを記せたらなと思ったのさ。
スターバックスのアイスコーヒー。
ぷるぷると廻る紙のプロペラ。
自転車に初めて上手く乗れたあの日のバランスで、
いつまでも君と生きて行きたいと思えた。
神にまみえたかつての軽さで、
今は穏やかに舵を取りながら…。
誰が書いたか、ではなく、誰のために書いたか。
羽田空港のロビーで彼が刻んだ一行から、
再びぐるぐると始まった世界。
見えない橋を渡り、いつも渡り終えた後で気付く。
かみさま、と触れる指。
震える、狂れるこころ。
毎日が冒険を生きているようだね。
自然と笑い合えて、偶然を生きる。
耳鳴りの鳴り止まない午後、
君に宛ててこの書簡を打つよ。
流れる星。流れ行く雲。
何処までも水のように過ぎて行け、言葉よ。

投稿者

京都府

コメント

  1. 美しいです。

  2. @たちばなまこと
    ありがとうございます!

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