高架鉄道
高架橋の手前で 母子とすれ違う
歩道へ吹き出してくる走行車の反響音
二車線道路が湖岸の県道まで下っていた
すれ違った時
赤子はカラフルな膝掛けに包まれていた
ちょこっとだけ小首傾げたまま
すっぽり母の胸元で 身を埋め眠っている
すれ違いざま盗み見た
彼女の張りのある白い頬と
歩道を下り行く 前方へ
直線にのびる涼やかな眼差し
高架橋をくぐり右折して国道へ上がると
背後に 線路の響
車輪がレールを踏むリズムの小気味よい
繰り返されるリズムが
さっきの母子の姿と重なってきて
和やかに遠ざかっていった
菊日和の朝
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