赤い灯

 サルビアの花の群が
 一とき 輝くのを知った
 それは夕暮が
 しのびやかに訪れる時

 あなたの手も触れぬ愛撫が
 激しく私を襲っていた
 細い目がふと閉じられて
 薄い唇が きつく噛みしめられた

 それだけで良かった
 夢の様に 大切にして
 一人でも生きて行けると確信した

 紅いサルビアの花の群の中に
 私の全てのものを昇華させた
 そして掌に 握りしめている
 残った愛だけが 痛い

 あのテレビ塔の赤い一つの灯が
 涙に にじんだ
 けれども誰も知らない
 寄り添っているあなたさえ知らない

 

投稿者

滋賀県

コメント

  1. 何と雰囲気のある詩なのでしょう。2連目のあなたと最終連のあなたを思って、残った愛の痛さを感じてみました。

  2. @あぶくも
    様へ

     どうもありがとうございます!(o^^o)ゞ お寄せくださいました
    コメントのお言葉、たいへん嬉しく光栄に思います。
     赤いサルビアの花言葉「燃える想い」、そして「スカーレット セージ」の
    ギリシャ神話と関係のある悲しい話にちなんで、しみじみ…書いてみました。
    半分ノンフィクションの世界です。

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