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太陽のあかるい午前、
子供たちが遊具で戯れる公園。
俺は佇立し、呆けながら春風を聴く。
コニャックの小瓶を空ける。
こんなひかりたちを、檻の中で、
かつて見届けたいと思った。眼を瞑る。
まっさらな閑暇を、先人たちは走り抜ける。
誰かを本気で殴ったことはあるか?
胸ぐらを摑まれ、投げられた時の空の青さ。
月日だけが巡り、淡い郷愁が残る。
灰色の人生。下の子の拾って来た桜貝。
再び眼を開いた今、子供たちの幻影も公園も消えて、
俺はオレンジの柵で囲まれた現場の外に立っている。
南十字星を思った。
何処かでパラパラと捲られるアルバム。
日時計。三度の飯。跡形もなくなった家屋たち。
思い出の中にだけ、黒々とした希望の種がある。
俺はその粒たちを、これからも撒こうと願う。
撒こうと願うよ。やわらかい日差しの中、
俺は地面に向けてガラス瓶を投げ付けた。
砕けた欠片たちよ、散らばれ。
此処から始まろうとする世界が在る。
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