湖に降る雨

 湖に音なく拡がる雨の輪
 いく重にも折り重なった所に
 女の亡骸が 漂っている

 奇妙に笑いを浮かべて
 女は掌を握りしめている

 小舟を出して眺めていると
 あれは 脱け出している私の魂なのか?
 不安だった

 辺りは何も見えず 静かすぎる
 心底一人だという気がした
 ああ、何もかもいや
 あの人も もういや
 雨を 吸いこみ煙る湖に
 衝動!

 この漂う女は 私の魂に違いなかった

 湖面をのぞく貌に
 女の奇妙な笑いがのりうつっていた

投稿者

滋賀県

コメント

  1. この詩から、そこはかとない迫力を感じました。それでいて、ネガティブではないものを感じます。

  2. @こしごえ
        様へ

     いつも、お読みくださいまして感謝致しております。m(_ _)m
    コメントを、お寄せいただきどうもありがとうございます!╰(*´︶`*)╯♡
     この詩は、以前公開させていただいた「湖空」という作品が
    ございまして。湖を眺めました同じ時、墨絵の様な光景にポツンと
    浮かぶ小さな釣りボートを見たのです。人影は見えずボートのえんじ色が
    印象深くて、ずっと心に残っていました。
     ちょっとミステリアスで幽幻な世界を描いてみたくなりました。(^ ^)
    こしごえ様のご感想のお言葉、とても嬉しいです!♪

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