銀河の岸の思い出より

それから
ごめんなさい
ありがとう

銀河の岸の公園にある
古びた青色のベンチに座り
星々をぼんやり
眺めていると
向こうから小鬼がやって来て
私の目の前でにっこりほほ笑み
「こんにちは。横に座っていいですか?」
と言うので、
「ああ、いいですよ」とこたえた
すると小鬼はベンチの端に
ちょこん、と座った。私は
その反対の端に座っていて
再び星々に目を移した。
ふたりはそれぞれ黙ったまま
しばらくすると
遠くの星が一つ鳴いた
「ああ、鳴いたな」
と小鬼は独り言のように小声で言った
直後に小鬼は私の方を向いて
「ぼくはあなたを知ってるよ」と言った
忘れっぽい私は驚いて小鬼をじっと見た。
銀河の星々は光っている
ずっと向こうの方で釣り鬼が
魂を一つ釣った。
思い出せない私はじっくりとして
小鬼に聞いた
「きみはどうして私を知ってるの?」
すると小鬼は優しく返した
「ぼくはあなただったんだよ」と。
銀河を
星の亡骸が一つ流れて行った

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コメント

  1. ※ 詩「銀河の岸の思い出より」 初出 日本WEB詩人会

  2. とても良い感じの御伽話ですね。

  3. 「ぼくはあなただったんだよ」
    やっぱりここにグッと来ますね。

  4. 歳を重ねるたびに、ごめんなさいとありがとうはペアなんだと感じています。

  5. @たかぼ
    たかぼさん コメントありがとうございます。
    そうですねぇ、御伽話と言えばその通りですね。たかぼさんが、それを とても良い感じの と言ってくれて、ありがたく貴重に思います。たかぼさん、ありがとうさま☆^^

    まあ、この作品は、もちろん、作り話なんですが。
    小鬼が私だった、という部分だけは、まるっきしウソとも言えないのです。
    野暮を承知で説明すれば。
    私の心は、数年前までは、鬼のような荒れ具合でした。でも、鬼というには、私は気が小さい。なので小鬼。ふふ。
    でも、ある詩人のお方に、「醜い部分もあるのが人間ですよ」の「ような」ことを言われて、私は小鬼から人間に立ち戻ることが出来た。
    まあ、言ってみれば、私の精神世界の話ですね。ふふ。そういうことです。うん。^^

  6. @あぶくも
    あぶくもさん コメントありがとうございます。
    やったー♪^^
    あぶくもさんが、そこに グッと来てくれて、とても嬉しいです。あぶくもさん、ありがとうさま☆^^

    うん。タイトルにある通りに、それは今では思い出ですね。
    たかぼさんへのコメント返信でも言いましたが、小鬼は私だった。
    小鬼は、気が小さくて醜い奴かもしれないけど、私には優しいです。あんまり意識することは無くなりましたが、今も極たまに、私の精神世界の銀河の岸で他の鬼の仲間と仲良くしているようです。ふふ。うん。^^

  7. @たちばなまこと
    たちばなさん コメントありがとうございます。
    おお、そこに反応してくれて、ありがたいです。たちばなさん、ありがとうさま☆^^
    うん、そうですねぇ。年を取るということは、極若い頃よりも色々な経験をして来ているので、ごめんなさいも ありがとうも 増えるんですよねぇ。そして、ごめんなさいも ありがとうも ペアなんですねぇ。たちばなさんに言われて、ああ そうだなぁ、と思えます。年を取ることのすてきなことに気付かせてくれて、ありがとう。私は年取るの今は好きですけどね。極年寄りになったりしたらどう思うかは不明ですけどね。年を「重ねる」って、いい表現ですね。ふふ。うん。^^

  8. 銀河鉄道のような、童謡的なものを全体から感じました。ひとつのつかえがふわっとほどけたような、そんな心地です。

  9. @ぺけねこ
    ぺけねこさん コメントありがとうございます。
    ああ、銀河鉄道のようなものを感じてくれて、光栄に思います。

    この詩を読んで、ひとつのつかえがほどけたような心地とのこと。そのように すてきに読んでくれて、ありがたいです。ぺけねこさん、ありがとうさま☆^^やったー♪

  10. @たかぼ

    @あぶくも

    @たちばなまこと

    @ぺけねこ

    皆様へ 拝礼 ^^

    詩を読んでくれる 皆様に言えることなんですが、その方(かた)の貴重な時間などを使って 読んでくれる。
    その上、その詩から さまざまに感じたり思ったりしてくれる。そのことを私はありがたく貴重に思っています。
    そして、更に、こうして 皆様のようにコメントをしてくれることの とても嬉しいことよ。

    皆様 ありがとうさま♪^^

  11. @ぺけねこ
    ぺけねこさんへ 追伸 拝礼 ^^
    え、ぺけねこさんへ書こうと思って忘れたことを思い出したので書きます。

    この詩を書いて、少し一息つこう、と思って、この詩を書いたのです。
    自身の印象として、最近は 理屈っぽいのが多いなぁ、と思い、少し変わったのを書きたくなって、この詩を書いたのでした。まぁ、それで、今回は、童話的なものになったのだと思います。
    まあ、また、理屈っぽいのに戻るとは思います。まあ、作風は固定はしたくないけど、その時その時の瞬発的な勢いや流れ、連鎖的な筆運びなどで書いているので、その詩その詩が どうなるのかは自分でも分かりません。

    詩は、自由だと思うので。ふふ。拝礼 ^^

  12. 人の心の中には地獄も仏も在りますね。それを優しい筆致で描いていらっしゃる。
    上質な短編を読んだように思いました。
                        レタス拝

  13. @レタス
    レタスさん コメントありがとうございます。
    そうそう、人の心の中には、地獄や鬼と仏もありますね。レタスさんの言う通りです。ふふ。

    レタスさんが、この詩を、優しい筆致で描いている、と感じて捉えてくれて、とても嬉しくありがたいです。
    ああ、うん。この詩を、上質な短編と言ってくれたことも貴重です。
    レタスさん、ありがとうさま♪☆^^

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