セントジョーンズワートの庭で
柔肌 胸の やわはだ
膨らみに向かって
掌 散逸の てのひら
上に向かって
沢山の 黄色い 少女
花を
狡猾 少女は 恍惚
伸ばした腕を見つめて
戒落 少女は 快楽
花に感染られて
半開の 滴落る 口唇
蜜を
それは認識の限界を超える
深度 感度
見えている気持ちのいい場所に
一瞬で 行っても
もうそこにはいない
( 耳かきして 耳かきして欲しいな )
近くの A-10の その知覚の
樹状突起が揺れて
薫りの 滲血の その花折りの
セントジョーンズワートの庭で
口唇の 解き放つ 少女
毒を
コメント
タイトルから、なんとなく黄色い花の咲き乱れる牧歌的な風景を想像しながら読み始めると、二連目ではもう不穏な空気を感じて、最終連で脳神経系のワードが出てきて「ああ、普通の花ではないのだな」と気付かされる。ってことは「耳かき」も、単なる耳かきとしての意味を超えてくる。そういうところが、たかぼっちらしくて好きだなあ。
>トノモトショウさん コメントありがとうございます。「脳神経系のワード」と直ちに見抜くところなどトノモトさんはいつだって読み手として隅に置けない人ですね。A-10はエーテン神経、感情を司るドーパミン作動性ニューロンの一つです。ご存じの通り、セントジョーンズワートはセイヨウオトギリ草、この季節に黄色い花を咲かせます。精神安定剤としてのサプリメントに使われることで有名なハーブです。
セントジョーンズワートで調べるとセイヨウオトギリもしくはそれを材料としたハーブ、薬とのこと。抗うつのために処方されるが重篤な副作用の懸念もあると。
弟切草といえば鷹匠の春頼が秘伝の薬のことを他人に漏らした弟を切り殺した伝説がありますね。葉に浮かぶ油点は血の痕とか。この血の痕はヒペリシン、口にして陽に当たれば湿疹や浮腫が生じるとか。
僕はオトギリソウの花の雄しべのわさわさがどうにもニガテです。愛くるしいとも言われますが、どうにも妖しい。妖艶ではない若々しい妖しさです。でもニガテ。
黄色いあの花も揉むと弟の血(ヒペリシン)で黒っぽく変わります。
愛らしく妖しく(しかも問題をかかえた)少女。毒まで含んでちゃ僕の手には負えないな。
>王殺しさん コメントありがとうございます。この拙い詩に、SJWが内包する妖しい魅力を添えて頂き感激致しました。
最近、ASMRとか流行っていますけど、こういう詩を朗読してもらってイヤフォンで聴いたら、ゾクゾクしてヤバイなと、危険な信号が文字から読み取れました。
>timoleonさん。なるほど。するどい! そうすると「耳かき」というワードも俄然重要になってきますね。ちょっと「はとむぎ」さんにASMR頼んでみたくなりました。
あー、ぞわぞわします。
>たちばなまこと/mikaさん。ナマメカシサを感じて頂けたら幸いです。