
B
君の目が僕に向いていることを嬉しいと思った次の五限で、シャーペンの芯を折った。
瞳の中に映る僕がどう見えているのか、知る由もないと呟いて屋上に行った、鍵がかかっていた、僕は階段を下りながら口内炎をなぞり、痛みを確かめることしかできなかった、それでよかった、はずだった。
Bに染まった僕の心を、理解してくれる人がいるのに、告げることはせず君を見ていた。
多様性という言葉を僕が僕自身で虐めている、マイノリティということが、当事者ということが、多分僕を殺そうとしていた。
たったそれだけなのに、僕は無言で扉を閉めた。
心というものがどこにあるのか、空の雲に問いかけたとき何も返ってこなかった言葉が、やっと分かった、ような気がした。
コメント
写真の雲が黒いのと朱いのが混じるところが良いですね。そうするとBに染まったのはBlackなのか、それともB.Love的なLGBTQX詩なのかなぁなどと思いながら読ませていただきました。小説の一部みたいで素敵です。