雪と氷の世界
外は薄い氷の膜で覆われている
人々の吐く白い息がそれに重なる
高層ビルの隙間から
吹き出す吹雪きが
うねりながら
周囲を白く塗り潰していく
ノイズは今
雪で圧縮され
消えていく
ただひたすらに君が
汚れた血を
僕の眼前で
流し切ってしまうのを
僕は見た
脳に一撃を加える酒を飲み
踊り狂うクラブのフロアーで
カクテル光線を浴び
ストロボに照らされる
モンタージュのカット絵の中で
マリワナが誘い込む
ベース音に揺れる
スピーカーの前で
手にこびり付いている
返り血を洗い流そうとする
泡立てた石鹸の前で
排水溝に流される
奇妙な体液の前で
消化液と闘っているその前で
ただひたすらに君が
汚れた血を呪うのを
僕は見た
平和な陽射しの公園で
小さな少女達が遊ぶその横で
水鏡に映る自分に
石を投げるその横で
乞食達のダンボールで作った家の横を
最後の1本になった煙草に
火をつけようとしてるその横で
あの高層ビルをすり抜けて来た
骨まで見透かせてしまう氷雪が
クリーニング店の
ボイラー熱にぶつかるその横で
君は汚れた血が
どこから来たのか考えている
青い空が1度まわるたび
死して産まれゆく声を聞くたび
路上には信じられない数の光が
煌めいている
君は凍りつく月光に触れる
メリークリスマス!
純粋なまでに赤い血が
雪の上に一筋垂れてゆく
ジーザスの脇腹を刺した
ロンギヌスの槍が
鈍く光る
なんてこった
それを吸いこむ地は
小さな鼓動を始める
光が広がり
そして
胎動が生まれる
眠りに落ちる
痛みの果てに
君は何を見るだろう
雪の結晶は
君を見て形を作り上げる
その輝きに照らされて
命が放り出される事も
ある事を
眠りながら
何もかもが
どうでも
良くなって
行く
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