私信
その時は20だった
ちょうど切りが良いから
という
ほぼ動機は存在しなかった
見渡すと
その人は誰かに電話をしていた
それで
ああ。恋人だ、と何となく思って
その時は20だった
現実の世界ではちょうど適齢期
婚約指輪ぐらいつけている年だ
そして、ポリシーが出来た
なぜこんなに美しい音楽を?
両手を広げてくるくる回りたい気分だった
浮かれて
別の人にそのことを話しかけてしまったんだと思う
分かる人は気付いた
大した話でもないのに
私が絶対に投稿時間をずらしてくること
その意味
おしゃれな人のグループがあり
黙々と純文学を突き詰める一派があり
日常の生活を楽しむ人々がいた
私はせっせと掃除をしていた
意識の整頓
ひととの交流なんて遥か遠くの眩しい光
絶対に許せない思想を持った人も少しいた
ロッカーは皆人を励ますもんなんだな
私の作品は
ほとんど覚えていないけれど
電話の相手は分かった
(ちゃんと公開されている場所に写真が載っていたのだ!)
若過ぎて近寄ることさえできなかったひとたち
今なら少しは分かる
私のことを誰も知らなくてもいい
人生とはそういうものだ
私は現実でも
ネットでも戦っていた
その人そのものよりも
彼らの行いに対しての裁き
翼は伊達じゃあない
天使になれるかどうかなんて考えもしなかった
ただ
見えない目で彼らのことを愛していた
訃報に出くわした時
自分が初めてその人を好きだったと気付いた
慕っていた
一度きり、素晴らしい音楽を聞かせて貰った、それだけで
それから
そろそろ
数十年
私は本当にひとりぼっちになってしまった
もしできたら、なのだけど
できるなら
歌いたくてたまらないのだ
彼から聞いた歌を
悲しい時にも
嬉しい時にも
誰も寂しくないように
遠い空に響くようなあの歌を
コメント
作者より
詩の内容は全く記憶にないのですが、今ここで交流のある方のほとんどは、その方のお知り合いなんだろうなと思っています。
「……とある蛙」さんへの追悼の詩を読んで、私も書いておこうかと。復活おめでとうございます!(今)
『私信』というタイトル、思うところが多いなと気づかされました。
あたたかな詩、音楽です。
@たちばなまこと
やっていいことと悪いことが判断できない、が障害者と健常者の違いらしくて。
愛するとは、何か、私はまだ分からないでいます。