影の歌

あさり同士の会話がある海で
海は静かに波立ち
あなたと私は沈黙したまま
水平線の方へ目をやる。
秋の光ぽかぽかとして
雲は浮かぶ
ぽっかりぽっかり

砂浜の向こうの方で
見知らぬ人が
黒い大型犬とお散歩してる
午後の光に
影はさまざまな存在と共に在り
どこまでも影は黒く透けて
どこまでも黒く

あなたも砂の上に座っていて、
隣の私の手をにぎってきたよ
あの時
私も
あなたの手をにぎりかえして
手をつなぎあった
あなたと私

でもね。

あれからどれくらい経ったろうか。
今でも
あさり同士の会話がある海で
海は静かに波立っている
人知れず
存在している影も在る。

影は今 夕闇に解けて
天には星々が瞬き始めた

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コメント

  1. ※ 詩「影の歌」 初出 日本WEB詩人会

  2. アサリなのか犬なのか人なのか全てであり、やはり全てに影がある
    海に影はあるのかな

  3. @那津na2
    那津さん コメントありがとうございます。
    はははは、痛いところを突かれました♪^^; そう、海の中にはほとんど影は無いですね。うん。そこは私の至らない所です。なので、「影はさまざまな存在と共に在り」と、『あらゆる』とか『すべて』『みんな』にとかではなくて、「さまざま」としか言っていません。うん。その辺なんですよね「さまざま」ね。
    でも、那津さんがご指摘してくれて、やはりこの詩には(にも?)欠陥があると作者自身自覚できました。
    那津さん、ありがとうさま☆^^

  4. やわらかい。
    そんなことが一番に浮かびました。海にも影はあると感じます。溶けて混ざってあわあわと、曖昧に、きっと捉えれにくいものなのかもしれません。そんなことが漂います。

  5. @ぺけねこ
    ぺけねこさん コメントありがとうございます。
    ああ、ぺけねこさんが、この詩を やわらかい と感じたりしてくれて、とても嬉しいです。
    うん、存在の影、というものはあるかもしれませんね。
    ぺけねこさんが そう言ってくれた通りだとすてきです。そして、漂う、そうですねぇ、漂うのですね♪^^
    ぺけねこさんが、さまざまにいろいろに思い描いてくれて、この詩も私も幸せです。
    ぺけねこさん、ありがとうさま☆^^

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