船を出すのだ

  

胸を張るのだ

落胆の声を耳にしても
胸を張るのだ

わかりあえない先でも

人を信ずる道を説くのだ
うずくまる彼の悲しみの声にも

そうしてくれてゆく周りの人の胸にも
種を蒔いてゆくのだ

種を
蒔いてゆくのだ

   

  
船を出すのだ

絶望の北風を帆に受けて
船を出すのだ

たどりついた先で

乾いた大地を潤すのだ
うずくまる彼の悲しみの雨で

そうしてぬかるんだ彼の足跡に
種を蒔いてゆくのだ

種を
蒔いてゆくのだ

  

  
  

夢を見るのだ

希望の夜を枕にして
明日を迎えるのだ

たどりついた朝に

さびれた心を晒すのだ
うずくまる彼の悲しみの昨日も

そうしてぼやけてゆく過去も糧にして
種を蒔いてゆくのだ

種を
蒔いてゆくのだ

種を
蒔いてゆくのだ

    

投稿者

コメント

  1. やっぱり、ABさんの詩は温かい。けれど、ABさんご自身はいつも切り立った崖の上で書いている気がします。

  2. @たけだたもつ
    たもつさんの方が薄氷の上で、しかも新しいを、続けてると勝手にそうわなわなしてます。
    続けてゆけるだけ渡ってゆきましょう。

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