双子座彗星

自閉ぎみの少女
神経質そうな
着いうなじが
夜に逆立つ

月の輪が君を包む
暴力に満ちた時代を抗って
彗星は横切って行く

暗閣に潜む
悪党達の陰謀
君はわずか6歳で
それを知る
キンポウゲを踏み散らかし
太陽を包囲しようとしている
彼らに立ち向かう

君の細い腕に浮かぶ鳥肌
冷たさを増すその体に
秘密はもう守られない
彗星に乗って
星を横切る願い

どうかあいつらを
こらしめて下さい

星間の好奇心が
夜に復讐する場所で
私は祈りつづける

世界が転がり始める時に
私の孤独は勝利するだろう

真夜中の木々の叫び
夜に背を向けたフクロウの後姿
神話を塗りつぶしたスプレー缶
雨の中で流れた流星群
双子座彗星がそれを伝える時
時空を超えた囁きが
君に放たれる
花よ骨から咲け
花よ石を突き破れ咲け
花よ私の涙を吸って大きくなれ