一人

何もかも忘れたいから
忘れると思う
時々
日常に驚きを隠せなくなって
片手で口を押さえる

君の空っぽの両手に
俺の心を預けるわけにはいかない
君はそれを捨てるだろう
躊躇いなく
別に構わないよ

歓楽街に
始発のプラットホームに
ネットの渦に
嵐の中に
石は傷付けるから光るのであって
ね、俺に期待したら

薬を飲んで
夕飯を食べて
朝起きて
誰かに好かれて
その人の為に生き
それで
俺に何が残ると思う

ああ
今も苔と暮らしてるし
電話線は切ったよ
鳴らないのに
三台目のスマホだ
炊いた飯を握りながら
父が生前幸せだったかを考える

誰に似たのか分からない
鬼子にしては平凡だ
変な服に身を包んでる
ゆくゆくは神様になるつもりかもしれない
とても意図的に

病気は治すために名前を付けられるのさ
世界は変わる
かたつむりぐらいのスピードで
君が押し殺した
その本音から
いつか美しい花が咲くよ
そして
俺はその花に水をやりたいんだ

男と女がいるのは
交わるためだって
どっかの偉い人が決めた
交わるまでは
みんな紛い物だってことだよ
一人になりきれない
偽物だ

投稿者

神奈川県

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