羽ばたき

日常から
ふと
こぼれ落ちてしまう瞬間
悲しい洞察を
もたらす瞬間がある

夜通し吹き荒れた
暴風雨の後
ようやく
雲間からのぞいた朝日に照らされて
あらわになった
洪水の爪あと…

ただ茫然として
立ちすくむ人々に紛れて

群れからはぐれた一羽の鳩が
突然羽ばたいて
彼方へと飛び去るとき

その羽ばたきを耳にして
気づかないだろうか?
あり得たかもしれない未来が
羨望に満ちた眼差しを
今この瞬間
秘かにきみに向けていることに

投稿者

東京都

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