ひっつきむし
彼女がひっつき虫であるのは
自然の内部から浮き出るサインによる
しかも荻原碌山の女のように
はてしもなく自由の虜である
極限では誰しも、花火をうちあげる
南山の雲は月下にやさしい
もみあげの男がカクテルをつくろうとするのだ
その隣でカワウソの男が泪を勘案する
諸君の期待とホログラムによって
開闢と開閉は音もなく冷凍庫の前で忍び泣く
文脈は至高の玉座を与えたのである
ランドセルとともに、カンタンは鳴く
ジンギスカンの背丈を記録した草原色のノートへと
地球儀の表面の多くの文字列は消える
ステップ、タラップ、オトップ、メルトダウンと
邪心のステンレスの磨き上げた
極彩色のシャワーの電気回路のいつまでもどろんと
通電する諸君の口角は泡を吹く
サボテンの棘のシリコンの
そのような歴史の通訳は誰にも聞けない
心酔の言葉で狩人たちが森へと入るのだ
ひっつきむしの、ひっつきたいところ
彼女の浸水するこころの深みに
おいそれとは手をのばせないのだ
鉛色のテクノロジーを
ひっつき虫は内視鏡とする
ぽろりと落ちたのは
何?。
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