秋の抱擁

ぱっくりと開いた
雲の輪の中に
秋の太陽が
やさしくほほえんでいた

黄色く色づいた
木々の隙間から現れる
翡翠色の水の流れ

一緒にかくれんぼしながら
わたしの心を
いつの間にか
連れ去ってくれていたね

赤く熟した桜の葉っぱたちや
秋色に輝く
けやきの
ゆったりとした吐息

見上げた空を
ゆっくり旋回する
とび色の鳥のシルエット

秋は何かに
とらわれていたわたしを
そっと
手招きして

深く深く
抱きしめた

近づく冬の足音には
気づかない
ふりをして

だから
ただ 
ありがとう

さよならのかわりに

投稿者

コメント

  1. 秋は中途半端な季節だけど一番好きな季節です。春より秋が好きです。憂いを感じるから。

  2. @kunio
    さん、このたびはコメントありがとうございます。
    私も秋が大好きです。
    個人的には、春のあの無条件に
    喜びに満ちた感じも捨てがたいですが、
    秋には何か憂いにそっと寄り添ってくれるような、
    不思議なあたたかさみたいなものを感じてほっとします。
    (kunioさんのおっしゃる通り、秋そのものに
    「憂い」を感じるからでしょうか。)

    このたびは素敵なコメントを
    ありがとうございました。

  3. さらさらとやさしいハグですね。

  4. @たちばなまこと
    さん、このたびはコメントありがとうございます。
    ちょっと体調を崩しており、お返事が遅くなり大変失礼いたしました。
    「さらさらとやさしい」とハグを表現してくださり、ありがとうございます!
    「さらさらと」、と「やさしい」がなんだかとても
    あの秋の日の心地を、思い出させてくれた気がします。
    素敵なコメントをありがとうございました。

  5. 秋ってやさしいですよね。
    今まで漠然とそう思っていたのですが、「まさに」な詩で共感してしまいました
    いろんな情景と心情を絡めて巧みに表現されていて、
    秋の深い愛を感じて幸せな気持ちになりました。

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