物語
空想の眼下に草原が広がる
あるのは若緑の風になびく草と
私と私のいる世界だけ
幾度となく、私は私の世界を思う
草原の真っただ中に、一人だということを
それがいかに寂しいことだろう、と
さみしいという感情はわがままなのだろう、と
寂しさを紛らすために何かを求める
それならば、私は物語を描こう
なんでもない、ただの物語
理想と幻想を交えて、彩られる物語は
いつも、面白くないし明るくない
負の感情を、沈めて隠すことができない
そう思っているのは、私だけだけど
生が死に向かっていくのが当たり前で
夢は夢でしかないという私の考えでは
きっと、笑うような人生は語れない
いつだってひねくれているんだ、私は
いいじゃないか、と叫んでみても
ありえないから、と踏みつぶされる
私の思いは、まるで
道端の草のようで、人に踏まれている
それでも物語を作る
寂しいから、描く
いつかの私が、ただ楽しいからと
そう笑える日が来ることを願って
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