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そのなだらかな 坂 の
おりても のぼっても やがて
おんぎゃあ って 聞こえる の
62
誰もの昼を飲み込んで溶かして 初めて
夜というものになったのだということを
寝顔の君に
63
岬の先にある桜にはじめて側に寄ってみて
藤の蔓が強く絡まっているのを見ていたら
随分と頑張ってきたねと逆に言われてしまった
64
僕らは先生のことは案外好きだったのかもし
れない。それから先生、車の給油口を壊した
のは僕達じゃありません。
65
自分とこのシャワーの水圧と排水の音は
あまりにも間抜けていて
明日、田舎の母に電話しようと思った
66
祖母の家の仏壇には大きな菊紋の入った額縁
があり、フィリピン部隊で、と書いてある。
下のこどもがあれはなんだと聞いてくる。
67
目がさめて、ここはどこ?
と少しだけ考える時間が好き
もう帰れない場所へ連れてかれるような幸せ
68
躊躇する足もとに
おんなじたんぽぽが
ひとつ ふたつ
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なまぬるい詩を書こうと思います
それでひとりでも、どっかの誰かが
平和になればいいと思います
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庭の草がすぐに伸びるのでとつぶやきながら
ついつい口にするのは母親の口癖
後で白い紙の上に書き連ねようかしら
そんなことより立ちくらみの予感
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