お嫁さんのお菓子

黒地に花模様の着物のお嫁さんが
ゆっくりと道を歩いてくる
付き添い人が子供たちに
お嫁さんのお菓子を配る

お嫁さんのお菓子には二種類あった
大きくて丸い花のようなもの
小判型で砂糖がかかったもの
みんな甘いほうが好きだったね

子供時代が終わるずっと前に
お嫁さんは通りを歩かなくなった
歩く姿を見たのは一度きり

今ならお嫁さんのお菓子は
式場で招待客に配られているか
あの日のお嫁さんとお菓子を思い出す

投稿者

徳島県

コメント

  1. 記憶の片隅にある懐かしい記憶。それは今を生きるにはそれほど重要ではないかもしれないけれど、奥の方から見つけ出すと、それはキラキラしている宝物のようでぎゅっと抱きしめたくなる。
    駅前の商店街で産まれて幼少期を過ごしました。隣の魚屋のお兄ちゃんが結婚するとき、店先から白無垢のお嫁さんと近所の八幡宮まで歩いて行く、その後をついて行った日のことを思い出しました。

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