風になる

風になる
風は
見えないけれど在る
風は
わたしのほほをなぜる
無言の声だ
その声は
いつか
だれかのほほをなぜる

それは
雲を運び
山を越える
それは
木の葉をゆらし花をゆらし
鳥と空を共にする
風は
そよそよと光る
けれど時には
びゅうびゅうと声をあらげる
そうして種は飛んで
生きるために芽を出す
さまざまな わたしが
風を吸いこみ
言葉ではない言葉を発するとそれが
あたらしい
風になり
耳をかたむける林を通りすぎてゆく

投稿者

コメント

  1. 風は無言の声、言葉ではない言葉。巡り巡る感じがとても好きです。

  2. あぶくもさんへ ああ、そう言って好きと言ってくださいまして、ありがたくうれしいです。うん。ありがとうございます。

  3. 心地よい疾走感を感じました。
    それでいて輪郭に主張がある。

  4. 風の吹き方にも何かを感じ。風は何も言わないのですけど。

  5. たちばなさんへ んん、この詩の(風の)感じなどをすてきに感じて思ってくださいまして、ああ ありがたいです。ありがとうございます。

  6. りゅうさんへ そうですねぇ、その通りですね、うん。
    「風の色」(意味は、「(草木などの動きで知られる)風の動き。また、その趣。かぜいろ」※広辞苑より引用)という言葉がありますけどねぇ、うん。
    りゅうさんへその風が吹いたようで良かったです。それを感じてくださいまして、ありがとうございます。

  7. 言葉ではない言葉を発する。このフレーズが印象に残りました。村上春樹さんが、小説の中で書かれていました。形のあるものと形のないものがあった時、自分は、形のないものを選ぶ…。

  8. 長谷川さんへ そのフレーズが印象に残ったとのことを私に伝えてくださいまして、うれしいです。
    ああ、そうなのですねえ。村上春樹さんの小説を読んだことはありませんが、すてきなことを小説の中で言っているのですね。すてきで大切なその言葉を教えてくれて、ありがとうございます。

  9. アニミズム詩のようでした。人間が自然と一体化している。

  10. timoleonさんへ ああ ありがとうございます。そうですねえ。そう言ってくださいまして、ありがたいです。うん、その通りで、人間も自然の一部ですね。そのように読んでくれたことを貴重に思います。

  11. 風が視えます。

  12. 剛さんへ ああ、この詩から風が視えるとのことを私に伝えてくださいまして、貴重に思います。ありがとうございます。
    剛さんや皆様へ良い風が吹きますように願います。

  13. 目は見えないものが
    世界を紡いでいく
    無音の中、風に揺れる世界
    そして、風の音を見ました

  14. 那津さんへ 那津さんが、この詩から、見えないものなどをこころのなかに思い浮かべてくれた上に風の音を見てくれてとてもうれしいです。すてきなご感想を ありがとうございます!

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