せいちゃん
同じサークルのせいちゃんは
誰よりも自由で
眩しかった
音楽と旅が好きで
探検部に所属してた
自然の中でマリファナ吸うの、好きなんだよなーって
長い夏休みの無人島企画してた
課題一生懸命やりすぎて
たまに部室の寝袋で
子どもみたいな顔して寝てた
なぜか西成に住んでて
おもしれーんだって
いつも周りに友達がいた
一緒にいると
自分の人生が楽しく思えて
わくわくした
無人島でせいちゃんは半日を一人で過ごし
半日は部員と魚釣りしたり
今日の飯を調達しにいった
一人で
裸で空を眺めたり本読んだりしてた
夜に
吸うか?って一口くれた
よくわからなかったけど
なんだかいつもより
世界がきらきらして見える気もした
これがせいちゃんが好きな世界
寝ころんで夜空を眺めた
一回生
二回生…
過ぎて
みんな社会に出るために
スーツを着て準備を始めた
ふらふらして遊んでればよかったのに
テントやランタン遊び道具が詰まったほこりぽい部室を覗いても
誰かがいることが少なくなった
誰かがいて
鶏を捌いていたり
タバコ吸ったり
天気図書いたりしてたのに
ある日のぞくと
せいちゃんがいた
なぜか2人になると緊張した
せいちゃんはいつも自然体だったけど
就職、悩んでるんだよなあ
うん
珍しく悩んでた
これといってできるアドバイスもなくて
私のオッパブバイトの話をしたりして終わった
せいちゃんが驚いて
ええ?おっぱい?って言って
なんだか変な感じがした
せいちゃんとそんな話
しばらくしてまた部室を覗くと
せいちゃんが寝てた
課題に追われて疲れてた
いつもいっぱいいっぱいを生きてた
俺、決めたわ。庭師になる
うん
晴れ晴れした顔で前を向いてた
決めたんだね
卒業して
もうそれきり会うことはなかった
どうしてるかな
たまに会いたくなるよ
どこにいても
だれといても
なにをしてても
せいちゃんには
自由でいてほしい
コメント
良いですね。なんかたまらなくなる。
私もたまらなくなった。わかってくれて嬉しいです。