冬の十六夜

日没の
ビル角に覗き込む月 
真向かえば
不気味に重々しく
いや増す赤さ 暗さ
風、
舞い吹きて
帰路をいく

車列 籠る騒めきから逃れ
ふと気付けば
うそのような まばゆい黄金色の月

(今、しかと見るべきものを見て)
コートのポケットの底
つっこむ手は
今朝拾った硬貨の感触だけを掴み取り

金波の入江に小石投げ込んでみる
若い日の様な跳ねる心
みるまにかき消されていく

何と暗い闇の中、

それでも静か妙に明るく

投稿者

滋賀県

コメント

  1. 暮色の寂しさ侘しさを感じました。紅く重たそうな月から黄金色に変わる…
    心に沁みます。

  2. @レタス
       様へ

     お読みいただきまして、ご感想のコメントをお寄せくださり
    どうもありがとうございます!m(_ _)m
     この作品は手がけました時、満月ではない、というところにも
    味のあるタイトルが、とにかく先にありました。イメージへ、
    流れるようにシーンを織り込んで描いてみたのですが…。
     レタス様のお心に響くものがあって、たいへん嬉しく思います。^ ^

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