尽きる事のない様に見えた
 波のたゆたいが
 或る日 
 突然 停止する

 怒った波は 
 白く腕をふりあげたまま
 すねた波は 青黒く沈みこんだまま
 急激な停止に身の置き所も解らず
 凍りつき

 大気はゆれ騒いでいるのに
 松の林は 堪え難く低い悲鳴をあげているのに

 私は丁度 その中間
 砂に足を埋めたまま何も考えていない
 唯、次から次へと
 胸に突き当たってくる
 これらを
 受けとめては おおぞらに
 ほうり投げている

 私の重みを利用して惹き込んでいく砂浜に
 抵抗もせず
 その都度 空が少しづつ遠くなるので

 この波の怒りや 
 大気のざわめきの塊が
 天上に 届かなくなるのではないか
 と
 それだけを、小さな私が恐れているのだ

投稿者

滋賀県

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