冬の雷

冬の雷

わたしが雷である時
ずいぶんと垂直である時
時代のつんざく音量で海峡をわたるしかない
かあさん、密航者は処刑されました
その首を持ち、その言葉をカリンの木にします
ゲルのままで、ゾルのままで
放心海面体、うずまきの心臓です
アンコウのような月明かりで絞め殺す
ベルゾ、その口蓋、苦しみの岩塊、すこしも
しみこんでくるパプチーしみこんでくる
ウルトラ快感のけしつぶの
ピアノ線の描く葬送曲をください
ドランクのどうしようもない独立志向の
ひらべったい国家のへらずぐちをたたくとしよう
あんたんたる国家の干し芋の
かあさん、かあさん、畑の中の残骸をくださいませ
ひろびろとして気持ちのいい残骸
このような冬のしばらくぶりの快感です
できだけの安心を後楽園に捨てましょう
海峡警備隊のパイプカットです
とじこめられた隊員たちの声は聞こえますか
水深の測り方を教えてくれた人と忘れられた人
きょうびの本質的前衛の没落と
タジキスタンの馬の上で演技する人と
あいぜんかつらの花と馬の乳を吸うことを知る人
交差する人間的ライブのきりきりと痛い
戦闘機の油はてかてかと痛い
はるかな空の冬の音楽と
ただ静けさでこの家は閉門である
この広がる庭園は
冬の雷。

投稿者

岡山県

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