渚、未明

明け方の海辺に波は緩慢に寄せて
双子の灯台の赤と白の光は
ちいさな儀式のようにゆっくりと
繰り返し
繰り返し

うす暗い浜辺を耳を塞いで足早に
通り過ぎてしまいたいのに
砂はやわらかくぼくを束縛する
無音の波は
繰り返し
繰り返し

終わりかけの星空を見上げる
遠いようで近くて
やっぱりどうしようもなく遠い
祈りを投げかけても
むなしい放物線を描くばかり

ねえ、なんでだろう
なんでこんなに悲しいんだろうね

いつまでも繰り返す
ささやかな未明の儀式
赤と白の双子の光は
ともり続ける
どこかに行き場があるかのように

投稿者

東京都

コメント

  1. コメント失礼いたします。

    彼誰時、をおもいました。もし、いつまでも明けきらないのだとしたら…
    もの悲しさがいっそう感じられる心地がします。

  2. @ぺけねこさん
    コメントありがとうございます。
    明けない夜は無いとも言いますが…
    早く明けるといいなあ。

  3. 未明の儀式、っていいですね。

    (返信引用のお名前の後、スペースか改行しないとリンク有効にならないみたいです)

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