春一番

なんだか日ごとにおかしなことになっていく自覚

春一番がぶち撒ける
巷に出回る純度の高いヤツ

OD気味に吸い込んだヤヴァい粉
OT過多でもTGIFそんならOKか
EDなら切ない人生これにてKOか

頭は狂気で膨らんだ袋みたいであり
耳は奥底で言っちゃイケない言葉を繰り返すばかり

いつか限界が来て破裂してしまいそうな気配

野に咲く花は待っている
おれが開くのを待っている

血走ったまなこを見開いて瞼を釣り上げる
上下左右次は円を描いて時には白目
三本の指を突っ込んで片方ずつ取り出す
丹念に水道水で洗ってやると目ん玉は放心したようにとろりと喜ぶ

鼻腔は入口だったはずだがとっくにイカれてしまっているのか
つつーっと左から血が流れやおら出口となる

空気の通り道は鼻から喉へとつながっており
内側から掻きむしりたい衝動にかられる
とにかくプラーナを整えるのだ
心をなくしたこの空虚な器を浄化する
ジャラジャラジャラジャラジャラネティ
てんてん天女おんそらそばていサラスバティー

多様性だなんだと言われて久しいが
結局のところワレワレはみな空虚な器である
それこそが真実　それだけが真実

多幸感とはほど遠いダウナーな代物
神とつながるなんて愚かな願いはとうに捨てた

もう懲り懲りだ　ああもう懲り懲りだ

そんなことよりちょっと一杯やってチルしようぜ
おれはおまえとチルアウトしたいぜ

野に咲く花は待っている
おれが開くのを待っている

かく言うおれは目下のところ
綺麗に並べられた錠剤を眺めては
この春の報せに浅い観念を嗜んで舌先で転がしているばかりだ