-終焉-

踊り続ける少女の影

美しく

残酷に

刃先には親友と思う彼女

もうやめて

叫ぶ彼女に少女は嘲笑(わら)う

止まらない輪舞(ロンド)

楽しい楽しい遊びはこれからも

そうずっとこの先も

少女の身体は柔く、ケーキのように

切っ先から零れ落ちる苺のソース

少女は止まらない

踊り続ける悲しき歌を詠いながら

口元には笑みを浮かべてもその瞳に移るのは

紛うことなき憎しみを

相容れぬ少女たちの闘いは

心臓をむき出しにするまで終わることはない。

観客たちは拍手を

笑いを

投げかける

味方同士の争いを喜劇のように見ていた。

膝をつけば心臓を貫こう。

大丈夫、痛みは一瞬だから

あなたは優しく優しく

殺してあげる

終焉なき輪舞は少女の足を狂わせる

それでも、ステップは間違えないから

ここに生き残り、彼女の血を浴びて

私は笑う。いつまでも。

大好きだから

あなたが

だから、

だから

彼女が膝をつく。少女は踏み込む。

彼女を抱きしめて、恋人が愛を誓うように

少女の左胸に刃先を沈めた

一瞬の悲鳴。飲み込んだのは

痛みではなく絶望から

瞳から零れ落ちるのは血の涙?

終わりを迎え、少女は立ち上がる

観客へ向かい、頭を下げる

今宵の喜劇は如何でしたか?

お気に召していただけましたか?

それなら幸いです

ああ、これで役目を果たした少女は

殺した彼女の頬に唇を落として。

彼女の血を吸ったナイフを

迷うことなく自らの胸へと

突き刺した。

投稿者

神奈川県

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