ピタゴラスの定理

ピタゴラスの定理

小道には静けさがあり
袈裟懸けに切られた武士の
最期の言葉がただよう
君主は静けさを身に着けている
その容貌は〈たまゆらの〉木々のぬくもりから抜け出して
太陽の黒点となり、カラスの恍惚となり
見よ、静けさはさまよいあるく
あけぼのも、しわがれた声の主も
タビラコの花のような君の鼻筋である
洋もくの香りが刺激的な午後の時間に
アンタレスからの短いレポートを読むだろう
くしゃみをして、ハンカチを取り出して
太陽のパルスが脳髄をかすめていく
大磯の海岸付近から、小舟が出ていく時には
天空はそしらぬふりで見送るだろう
彼もまた、自慢のボトルを手にしている
金輪際、君の言葉には騙されまいと
海に投げ込むのである
そうして太陽が懐かしい声で愛撫する
満水菩薩の肉付きの良い腹のあたりに
君のにくにくしい言葉が付着しているのだろう
金管楽器の絶対的不協和音で
神経をなだめておくれ
ピタゴラスの定理で、僕の首をしめておくれ
スキャンダラスな静けさで森がかげろう
シルビアもダルメシアンも
小魚のようにぴちぴちはねる
教誨師のあなたの瞳で
トカゲの腹に愛撫する
静けさの本質するカササギ姿で
ジョウロウホトトギスは君自身を日陰へと招く
弔いの時間が近づいているのだろう
パルス、パピヨン、パラダイス、そこへ行くのだ
にぎにぎしくて、こそばゆい、本質の顔である
どのような変質も君はゆるすのか
わたしのパルスは
ノーモア、クリスタル
管楽の祭典から行方知れず
くだけたアンサーソング
どどどどー、
どどどどー、
ナイルに沈む。

投稿者

岡山県

コメント

  1. 自然の静けさとはピタゴラスの定理のごとく、普遍的で完成された世界、、神々の、動物たちの獺祭のごとく、、ですね。

  2. @詩偈慧(しげとし)
    さんへ、詩には静けさが必要、であり、詩には騒乱が必要、だと考えます、人間の体内的、そして心理的、町や都市への、郷愁です、しかも、フルール。

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