ばらばら

電車からあの揺れる風景 どこかに降りたい所はないの
眠たく光る窓にうっすら うつる自分を笑わせてみたり
駅で読書のふりをしてると 吸いこまれるように他人は消え
残されたのは同級生の 目もとが隠れた長髪の少年

花粉症の季節でもないのに はなをすするくせは変わらずに
ずるずると僕らの関係は 「友達」を言葉にしないまま
ゲーセンがまだうるさいついでに 言いたかったこともカタチをなくして
そのぶん夜ははっきりと 今日の終わりを僕らに告げた

どこの高校を受験したの 言いたくないよだってどうせ
なんて大学に受かったの 言いたくないよだってどうせ
就職先は決まってないの 言いたくないよだってどうせ
言葉にしたらずれていくの 景色が進むって言葉のずれなの

そして夜が明けまたねって 手を振るわたしはいつのまにか
まだ昼下がりの駅の外 標識のように立っていると
電車からあの揺れる風景 窓にさっきの少年がうつって
呼びたいけれど彼は揺れ 揺れて人違いでも人でもない

待って。

 

 

投稿者

岡山県

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