水の歌

 改札口を出ると
 いく筋もの河が流れる
 灰色の淵に浮かび
 すべらかにいく青をみつけた

 水の歌
 三月も終わりの
 生暖かい大気に 還ってゆく
 透明な水の歌

 だが 厳しい季節をすぎて今、
 青は何て寂しいものだろう

 あのエスカレーターを下りれば
 バスターミナル
 青はバスに乗るのだろうか?

 ショート丈のジャケットと高めなヒールの靴は黒
 セミロングの黒髪
 細いペン先が描く様な肩から腰と小尻で際立つ
 マーメイドスカート

 春の街 に見失った後ろ姿の彼女

 どこかで
 硬質ガラス張りの壁へ歩み寄り
 ふわふわ 尾鰭をゆらめかしながら外をみる
 青い金魚で
 なければよいと

投稿者

滋賀県

コメント

  1. わー、かっこいいです!
    特に最後の2行。
    マーメイドスカートも出てきてひらひらと。

  2. @たちばなまこと
           様へ

     拙作をお読みいただきまして、どうも有難う御座います!m(_ _)m
     評価と、お寄せくださったコメントのお言葉たいへん嬉しいです。^ ^
     最終連は、学生の頃に読んだ日野啓三さんの短編小説からイメージ
     致しました。
     この作品は、最初「青いスカート」というタイトルの、もっさい(笑)
     原稿でした。第二連目に、ブルーポピーのヒマラヤンブルーの描写が
     入っていたのです。それを、全て斬り落とし「水の歌」という、
     自分では思い切った表現へ切り替えた事で、全体が引き締まりました。♪

  3. 春の街で見かけた、青色のマーメイドスカートの人、まるで水の中でたくさんの魚達に紛れて舞うように、ちらっとちらっと青が見えて、それを無意識に追いかけてしまう気持ちに共感しつつ、動きのある、リズミカルな、とても余韻の残る素敵な詩でした。

  4. @ayami
       さまへ

     お読みいただきまして、ご感想のお言葉をお寄せくださり嬉しいです。
     どうもありがとうございます!(o^^o) ゞ
     はい、印象的な…若い女性の後姿でありました。♪ 近頃は寒暖差で体調が
     優れず、あまり新作が書けなくて蔵出ししています。^^;
     作品を気に入っていただけて良かったです!

コメントするためには、 ログイン してください。