雨のせい
気が晴れぬのは雨のせい
頭痛がするのも雨のせい
汚れも不快も雨のせい
梅雨前に五月病もひと山越えたか
山越え歩いた山間の村
田植えしてたら雨
泥んこずぶ濡れ
ぬぷっと自分も植えられてるか
そんなことにも体は喜び
喜び勇んでお散歩してたらあら夕立
軒先借りて雨宿り
すぐ止みますかねなんて会話して
時には大きなポプラの木の下
しばし猫さんと通じ合えたか
通じ合えない事がらの多さに
嵐のような自責が止まない
嵐とまではいかずとも
天から雨粒 打たれてみてもまだ
まだ開発前夜のビンタン島
チャンプル食堂テイさんのお誘い
週末バイクの背中にしがみつき
出かけた先で口にはタパイ
スコールそのままパンツ一丁ふたり海
ひたすら泳ぐ 言葉通じないまま
ママに連れられ初めての
雨傘長靴 入園前の娘
太陽が顔出してるのかと思った
ピチピチ満面チャプチャプ全身ランランラン
まったくもう
雨が悪いのではなかった
雨を愛でられぬ己の勝手な生活様式のせい
木々や草花 いきもの全部そう
日照り続きの農夫は乞い続ける
耕す日あれば書に耽る日もある
それで良い それが良い
さらには空 いつもまっさらな
まったくそれは壮大な水上置換
あれもこれもまったく不足なき世界
律動 平衡 雨の精
それを愉しに 雨の精
やって来たのか 雨の精
コメント
何となく、宮沢賢治の童話を読んでいるような、柔らかで、斬新な情感を覚えました。
ぬぷっと自分も植えられてるか/そんなことにも体は喜び
とか、
チャンプル食堂テイさん
とか、
梅雨時、雨季の湿り気が伝わってきます。
長谷川さん、ありがとうございます。
「柔らかで、斬新な情感」だなんて身に余りますね。嬉しいです。