さよなら

さよなら
さよなら
さよなら

さよならを
何度も
となえる

あなたにではなく
たぶんわたしに

あるいは

あなたといたわたしに
あなたを
愛したわたしに

さよなら
さよなら
さよなら

どうかお元気で

もう

あの通りを
歩くことも

あの本屋を
覗くことも

ないでしょう

だから
もう
さよなら

あの暑すぎる
夏のわたしたち
短い秋のわたしたち
長く厳しかった冬の
かたわらで
心を寄せ合って生きた
わたしたち

さみしい春が
通り過ぎたら

瞬く間に
また新しい夏が
やって来て

すべてを
ちゃんと

忘れられますように

投稿者

コメント

  1. コメント失礼いたします。

    鎮魂、のようなものを最初感じましたが、最終連での余韻のおかげで、ぎゅっと今に引き戻されたような感覚です。
    「さよなら」という言葉にはポジティブさを感じる気がします。

    追伸:
    このさよならの繰り返しで、ある解説者を連想しちゃいました。

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