温泉プール

旅先の温泉の
露天風呂から上がり
室内の入口で
横を向くと
だだっ広い温泉プールがあった

どぼん、と入り
ぴょんと跳ねれば、ふわり
もうひとつ跳ねれば、またふわり
さらに跳ねれば楽しくなって
ペンギンのような気分になってきた

ぴょんと跳ねるたびに
最近太り気味のぜい肉が
上から下まで、どこもかしこも
お湯とともに
たぷん、と動く

プールのながーい反対側に辿り着き 
こおろぎ君に似た者が 
水面(みなも)でじたばたしてるから
えいやっ と手のひらですくえば
不思議なことに、姿を消した 

ながーいプールを
跳ね続け、一周した後
プールの外の椅子に
腰かけて
くつろいでいるところに・・ 

紺の作務衣を身にまとう
おばちゃんが姿を現し 
はっ! と思わずタオルで前を隠す
「あのぉ・・ここ・・・水着着用なんですよ」
そう告げて、赤面する僕をみて

 はーっ はっ はっ  

と笑いつつ、去っていった
(まずい・・そうだったのか
 一刻も早くここを出なければ・・)
そう思うと今度は灰色の作業着の兄ちゃんが
現れて、お湯の温度を計り始めた

よし ーー あの兄ちゃんが背を向けてる間に
今だ!

たっ たっ たっ たっ たっ

投稿者

東京都

コメント

  1. マンガみたいで面白い。リアルはシリアスでしょうけど笑

  2. 読み終えて、声を出して笑ってしまいました(…失礼)。詩を読んで、声を出して笑ったのは、ずいぶん久し振りのような気がします。佳い詩であります。(^_^)

  3. 那須にある北温泉旅館♨️(テルマエロマエのロケ地になったとこ)を思い出しました。何とも味のあるお宿と温泉なのですが、詩を読んでここの『泳ぎ湯』の光景そのまんまじゃないかと思いました。

  4. りゅうさん

    時々マンガのような詩も、書きたいです。 緊張しました(^^)

  5. 長谷川さん

    こちらの作風もいけるかも?と思えるお言葉に感謝いたします(^^)

  6. あぶくもさん 

    そうですか。那須もいきたいなぁ・・(^^)

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