故郷

団地に風が吹く
床屋のおじさんが
大きな欠伸をする
口の中で夏が過ぎていく
金魚鉢が宇宙を漂っている間
友達の一人は
セメダインでおかしくなった
ベランダの無い人が
ベランダを買い求めて
列に並んでいる
ひまわりのまま眠る
午後は幽霊になる

投稿者

コメント

  1. 私の団地は 幽霊団地です。 床屋のマスターは 脳梗塞です。 今は故郷もそうです。

  2. 面白いですねー

  3. 真夏の午睡のようですね。不思議な魅力ある作品です。

  4. 様々な色と匂いと想いが満ち溢れている故郷。
    夏の朝はほんのりセメダインの匂いがします。

  5. 暑さとか、匂いとか、味とか、一気に懐かいものが押し寄せてくるようでした。

  6. 並ぶのは苦手ですがベランダが
    欲しい気持ちに共感します。
    タイトルが緩効性肥料のように沁みてきました。

コメントするためには、 ログイン してください。