信じるモノ 信じられるモノ 信じるべきモノ
黄土色にくすんだ虚空の
ちょうど電線と左手が交差する一点に
第一言語での 陽炎
が
第二言語での ノイズ
が
第三言語での 神
が
表現の意味より前に 不意に
湧き上がったのである
現象でもあり概念でもある「彼」が
まるで自動的に 静かに
針金の髪をかき上げた(かに見えた)
振り返ると
現象でもなく概念でもない「僕」が
にやけた顔で突っ立っている
認識とは絡まるモノなのか?
この時点でアイデンティティは
ゼラチン質の塊へと変貌し
空間が時間でコラージュされていった
対峙する「僕」だけが
確かに息をしている
流動する群集の中でも
確かに
存在とは際立つモノなのか?
気まぐれな「彼」が導こうとしたのは
一瞬の
または永遠に終わりそうにない幻影だった
唯一の
または限りなくありふれた命題だった
世界とは
信じるべきモノなのか?
[TONOMOTOSHO Rebirth Project No.006: Title by 王殺し]
コメント
こんな面倒なの出したかなぁ。
少なくとも僕には「神」は信じられるモノでも信じるべきモノでもないな。都合の良い時(もしくは悪い時?)に信じたふりをすることはあるけど。
信じるべきモノはどうだろうな。今ならば「愛」だろうか。「君」でもいいな。
三つ星レストランのアンティパストのようです。この素材でこの形にするのかという驚き。そして何よりスタイリッシュです。
なんどか読んでいると認識と存在と世界でとても深い話になっているなぁ。神幸どか読んでいると認識と存在と世界でとても深い話になっているなぁ。信仰じゃなくて深考だな。
すごいな、このお題じゃなんも思いつかないよ。手も足も出ないよ。
一連目に引き込まれました。
表現の意味より前に 不意に/湧き上がったのである
このフレーズ、わかります。詩作は、そういうふうに始まるものだから。
世界とは/ 信じるべきモノなのか?
私は、世界とは微妙に距離をとり、少し後ろのほうでじっと伺っています。