ドラえもんのいない世界で
のび太はいつも
スネ夫にからかわれ
頭が煙の昇るエントツになるが
テストや体育の時間では
何故だか決まって、負けてしまうのです
そんなスネ夫に
気まぐれの風は吹き
「のび太、ほら、シュートだ!」 と
絶妙なパスをくれることもあり
「スネ夫にも、感謝しなきゃなぁ・・」 と
タイムマシーンの入口がある
机に頬杖ついて・・しみじみ思っているのです
読者の胸をふるわせたのは
ドラえもんが未来の世紀からやってきて
間もない頃の話
ドラえもんが未来へ帰ることになったから
殴られても、殴られても、ジャイアンに
へばりつき、泥々の姿になって
「こいつ、何だか気味わりいや・・」 と
ジャイアンは空地から、逃げてった
地面に倒れたままのび太は、呟いた
「ドラえもん、僕・・負けなかったよ」
* * *
大人といわれる年齢(とし)になった僕は
古びた漫画をぱたん、と閉じる
日常という本の世界へ
明日、足を踏み入れる
のび太に勝るとも劣らない
密かな主人公として
コメント
スネ夫もジャイアンも、ヤなところがありますが、よいところもあります。ドラえもんも、決してよいところばかりではありません。つまりは、そういうことなんだと思います。
ありがとうございます。 いい意味で考えさせれます。