061

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ふ と

見上げると
クジラは空を読んでいた

東には
逃げ遅れたはぐれ雲
クジラはふらんと尾鰭を揺らした

南からは
色と香りをまとった風
クジラはぬわっと口角を上げた

西の何処かで
微かな祭りのさざめき
クジラはむぬっと小さな目を凝らした

北の何処かから
なんとも美味そうな匂い
クジラはすぷっと潮を吹きそうになった

ワタシは
いろいろなモノやコトを読むくせに
風を読むことはない

もう 一度

見上げると
クジラはぽわんと空に浮かんだままで

もう
ヒトの五月は読み飽きたようだ

投稿者

東京都

コメント

  1. こんにちは。こっちの…画詩を、拝読いたしまして…(笑)
    思わず口もと、ほころんでしまいました。また印象の違った
    味わいを、楽しむ事が出来ました。
    どうもありがとうございました。♪ ^ ^

  2. 何にも考えずに風に吹かれたくなりました。一歩立ち止まり、自然に身をゆだねることって大切ですね。
    読まなくてもいいものばかり読んでしまうとき、いろいろ難しく考え込んでしまうときに、また読みたくなる詩ですね。

  3. @リリー さん
    >コメントありがとうございます
    近所のマンションの敷地に設置されていて
    以前から気になっていたのですが
    やっと詩になってくれました (笑)
    詩と画詩の違いを味わっていただけて
    作者としては本望です。

  4. @ザイチ さん
    >コメントありがとうございます
    ヒトが本来持っていたであろう本能の領域を
    書きたかったのかもしれません。
    たまには何もかも忘れて、自然の中で
    ボーっとしたいものです。
    風の味や光の匂いを思い出せたら
    本当に読むべきものを思い出せるような気がします。

  5. えー
    かわいいっす!クジラ

  6. @那津na2 さん
    >コメントありがとうございます
    そうなんですよ。
    自分の家にもつけたいくらいです。

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