凍った雨

白い塗装の剥げかけた
木枠の窓に
吹きつける西風

嵐の前の凍った雨が胸をつき
かえるべき場所を見失った心は
ぐるりぐるりと
過去の幻をめぐるだけで固くなる

あなたはあたしの歌を奪い取って
凍えた心臓に押しつけたから
妙に気が弱くなって

薄ら涙のにじみに
燃えつきた想いを揺り動かすのは残酷というもの

窓枠に跳ねる雨おと
消え入るような笑い声
外には ひとの姿無く
花壇で濡れそぼつカンパニュラ

満開の群に 打ちつける滴よ
ひたすらに降れ
朱夏の黄昏のなかで

投稿者

滋賀県

コメント

  1. 木枠の窓から見える心象風景が
    リアルに胸を打ちます。
    満開のカンパニュラに朱夏の黄昏は
    なんとも詩的でした。

  2. @nonya
       様へ

     どうもありがとうございます!!
     コメントのお言葉、とても嬉しいです。(*^^*)
     この作品は、先に公開しました「落花」と同じくタイトルが先にあって、
    他の方の作品を拝読してから気に入って自分も創作してみたくなったのです。
     「落花」では、たけだたもつ様のコメントに、詩を書く時は一行目が全て
    だとおっしゃっていた事から影響を受けて作りました。
     この作品では、最初から横書きセンタリングで仕上げたいと望み、少し
    スピード感も意識して言葉を選びました。白やピンク、紫にアルペンブルー
    のラテン語で「小さな鐘」を意味するカンパニュラ、そのポジティブな
    花言葉にちなんで書いてみました。最終連は、叙景で締めようと何度も書き
    直してやっと落ち着きました。^ ^

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