064

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マンションの壁面に宿った
真冬の枯木立あるいは
悩める左脳の血管造影画像

執拗な風雨に晒されても
コンクリートの平面に
蔦は日々を描き続ける

人の暮らしが届かない背中で
意識と無意識の非武装地帯で
蔦はひたすら企み続ける

人は時間を掻い摘んでしまうから
蔦の切実な一分一秒には
残念ながら気づきようもない

ようやく人が気づく頃には
蔦は人の緻密と努力の外面に
見事なアートを創り上げようとしている

まったく
素敵すぎる人の敗北だ

投稿者

東京都

コメント

  1. 私は失語症なのであまり分からないんですけれども ・・・

    『ひらがな』と漢字』と『写真』 コラボレーション。

    完璧です、お見事です。

    失語症になると、『ひらがな』 がわからないので。

    すごく見やすい。

    本当にすごいです。

  2. この写真は!…私の想像及ばぬものでした。(・・;)まさかこんな蔦だったとは!
    先に拝読させていただいた「凄さ」と、作品への驚きにまた違った感動があります。
    これは詩にしたくなりますね、本当にお見事です。^ ^

  3. @北杜アトム さん
    >コメントありがとうございます
    「ひらがな」が見辛いのですね。それはさぞかしご不便でしょう。
    改めて読み返すと、確かにこの詩は漢字が多いようです。
    写真詩という形をとったのが良かったのかもしれません。
    お褒めの言葉、有難うございました。

  4. @リリー さん
    >コメントありがとうございます
    この景色は以前から気になっていたのですが
    ようやく言葉になってくれました。
    もしかしたら、写真は蛇足なのかな、と迷いましたが
    驚いていただけて良かったです(笑)
    長く書いているとどうしてもマンネリ化してしまいますが
    写真を撮ることによって、良いきっかけをもらっているようです。

  5. この蔦は時期が時期なら青々とした情景なのでしょうか?確かにこれを見ると血管のようですね。じわじわと侵略していく感じでぞくぞくしました。

  6. @ザイチ さん
    >コメントありがとうございます
    この蔦は一年を通じても同じ姿なのです。
    枯れているのか、そういう種類なのか定かではありません。
    ただ、蔦の様子が風になぶられる木立に見えて
    いつか書いてやろうと狙っていました(笑)
    街を歩いていると、たまに面白いものを見つけて
    つい撮ってしまうのですが
    道行く人に怪訝な顔をされることもあります(笑)

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