Endless Ages ~善悪の果実~

疲れ果てた身体が 世界の果てを見つめている
知らないうちに 
誰もかもが違う場所を指さして
一体どこに行ったらいいかなんて分かるわけがなかった

交差点のまんなかで 
俺の孤独が それぞれの指先から蒸発し 昇天していく
すべてのものから 指紋は消し取られ
ここから矛先を変えて ようやく出ていったようだ

心が晴れていて
届きそうな気がしてならない
もしこの手が あの素晴らしいピンクとブルーの天井に触れることが出来たなら
あの絹のような黄金の裾をつかみとる事が出来たなら
俺が付けた汚れを 
あちこちの路地の手すりで オレの汚らしい手跡がぼんやり光るのを
道路に潜む ゴミ箱の取っ手に張り付いた亡霊を
親身になってやって来る 幾人かの疑問申立て人を
卓上に山積みにされたヤツら全部 この腕で払いのけてやれるんだ

記憶の塔をよじのぼり
無限の光りを見下ろしている
すべての行く末を 照らし出されて
すべての権限を固持させられていた時代

あそこまで行けば 悪魔の群れ
そこまでたどりつくと 天使どもの出迎えが待っている
ここに凍て付いた鳥どもが悲鳴をあげる
順を追って流されていく過ち
見つめた戦禍
俺を迎え入れる同胞
どれも日々のパンや水と同じく等しい

不必要なものなど一つも無かった
俺は食い尽くした 自分自身の欲求を ありとあらゆる絶叫を ひとつ残らず自分の名を!
これは素晴らしく 永地に触れた出来事だ
奴隷も囚人たちも皆 腹を空かして尚 行儀良く待っている

俺は何にをも供された存在だ
神や悪 寝床を食むうじ虫にさえ 身体を明渡している
これぞまさしく 慈悲の心ではないか?

俺は聖像よりも気高いぞ!
全知全能者にもまさって あらゆることを身に付けている!

照らし合わせろ!天国と地獄の満ち引きだ!!
俺を憐れむ鳥たちよ 
塗り変えられたこの空に 痛みをちらして舞いあがれ!!!

混乱はいつのまにか高々と迫り上がり  
傭兵は 虚無だの限界だのと根拠もなく張り詰めやがる
俺はずいぶん見届けた 静寂さえも見失い
悪劣な頭上の内戦中 明日のこと あさってのこと しあさってのことを考え
苦汁を吸い 地を這い 生き永らえていた

膨大な眺め
永遠は まさしく無限と言われる場所にあった
俺が放った言葉数が 年の月日に貼り付いている
白内障の犬の目に 星雲のような跡が映る
俺はいくらでも やってのけるつもりだった
だがそれも 耐えがたい苦痛に他ならなかった
全ては闇に消え 葬り去られる
つまるところ行きつく場所には
たえまなく現象が巻き付いていて
何よりもまず その根に交わり 俺はゆ(行、逝、絶頂)く

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この詩は『善悪の果実』という長編小説のスネークというキャラクターを通して書いた作品です。
スネークはあらゆるトラウマの集大成のようなキャラクターで、このとおり傷だらけなのですが、
彼の叫びを最後まで書ききることが私にとってとても重要なことと感じています。
いきなり粗雑な者が現れてびっくりされたらすみません。
ずっと眠っていたキャラクターだったのですが、あたたかい陽気に誘われて起きてしまったようです^^

投稿者

静岡県

コメント

  1. 何か、戯曲をおもわせる文体と勢いとで、もしかしたらある種のリビドー(エネルギー)みたいなものとか、見方を冷静にすると、今まで拝見させていただいてた作とはまた違った新鮮さをもらえて、「お、なんだか虚を突かれたようで楽しいなあ、」とかで読んでしまいました。(このサイトでのコメント、ってどうしたもんか。うむむ。とか逡巡しながらの内容です。申し訳ないです。)

  2. @ぺけねこ
    ありがとうございます。リビドーと形容いただき、すごく腑に落ちた感覚でした。
    スネークは以前からずっと書き溜めていたもので、魂からの叫びを勢い任せに書いているといった感じでしたので。
    また戯曲という表現がとても新鮮でした。キャラクター化して長編小説を考えておりましたが、より臨場感のある生身の表現が合うのかもしれません。
    こちらを出すと、よく人が違うような文章と言われます(最大の誉め言葉だと受け取らせていただいております^^)
    長らく眠っていたこんな粗雑な者にお声がけくださり、感謝です。お優しいお言葉とても嬉しかったです。

  3. この詩は、朗読したら映えるのではないかと思いました。テキストを見ず、暗記し、全身で語る。…たしかに、戯曲を彷彿とさせますね。

  4. @長谷川 忍
    ありがとうございます。叫ぶ詩人の会とか大好きなんですが、そんなイメージだと嬉しいな。
    語ることはどうにも性に合っていないようなので、どなたかにお願いできるとよいな、などと他力本願でおります^^
    まさか、そんなことをいって頂けるとは思ってもいなかったので、なんだかとっても感動でした。
    読んでくださってありがとうございます。

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