一片の空

 リビングのインテリア時計が穏やかなメロディーで
 午前六時を告げる
 テレビのニュース聞きながら

 窓を開ける東のベランダには
 蔓を伸ばす朝顔のプランターと並んで
 昨日、買ったばかりの小さな鉢植え
 居なれない面持ちした雪華草へ
 「おはよ!」
 水やりながら笑いかけてみる

 コンロにかけていた小鍋の玉子二個を
 ボールに移し冷やすと
 茹でたまごの殻は指先でツルリ
 剥けてくれる気持ち良さ

 それを まな板で半分に割れば
 程よい半熟
 黄味の美味しさを引き立ててくれる
 赤穂の焼きジオ

 メークアップの美しく出来ない私は
 今朝もありきたりな装いに
 お気に入りの柔軟剤の香り漂わせ
 夏だからオレンジのルージュを選んでみる

 玄関を出て見上げれば
 そこに
 小さな心地よさが一片の空となって
 私の目に映りこむ

投稿者

滋賀県

コメント

  1. なんとも心地良い読後感の詩ですね。「一片の空」というタイトルが良きです。幸福感ってこういった何気ない日常の中にあるのかもしれないと気づかされます。

  2. @ザイチ
       様へ

     読んでいただいてどうもありがとうございます!コメントくださって
    嬉しいです。^ ^
     私は、加島祥造 様の詩集『求めない』が好きで何度も読んでいます。
    さみしさと背中合わせのマイペース。いろんな朝に、ささやかな幸福は
    散りばめられているのだろうと思うのです。

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